任意整理と調停による解決
【任意整理】
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「任意整理」とは、裁判所などを利用しないで借金をしている債務者と金を貸している債権者とが話し合うことによって現在の支払い額と異なった金額の支払いを合意し、全体的に借金の整理をすることをいいます。
話し合いをするといっても、始めの約束どおりの金利で返済をしろといってくるのが常で、それでは話がまとまりません。そこで弁護士が入って以下のように交渉を進めていくことになります。
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業者からの請求はなくなる |
弁護士が介入したという通知を業者に出せば、そのあとは業者は債務者およぴ保証人に対して直接請求をしてはいけないということになっています(大蔵省通達)。業者は弁護士とのみ交渉を進めていかなければなりません。
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利息制限法で計算しなおす |
負債総額を確定します。ほとんどの業者が利息制限法を超える金利をとっています。弁護士はまず、この利息制限法の金利にしたがって借り入れ期間の利息を計算しなおします。そして、業者が利息としてとった金やクレジット業者が手数料としてとった金も、利息制限法の上限を超える支払い分は、利息ではなく元本の返済があったものとして計算しますので、大幅に元本債務額が減るケースがほとんどです。だいたい2〜3割から場合によっては5割くらい少なくなるようです。そして、借りている期間が長ければ長いほど金額の減り方は大きくなります。
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返済の方法を決める |
次は返済方法の確定です。借金をまとめて返すから大幅に減額してもらったり、分割で返済をする場合でも、確定日以後の利息をカットするケースが多いです。分割して返す場合の期間ですが、本人がギリギリの後ろ向きの生計を続けていくわけですから、あまり長期間は好ましくありません。長くても5年くらい、一般的には3年までとしています。ですから、毎月の収入から生活費を控除した後の金額×12ヵ月×3年の範囲内におさまる負債金額なら任意整理できるということになります。
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任意整理で大切なポイント |
債務者の側が資料をそろえられるかどうかということです。業者に要求しても、業者は自分の不利になるような資料は、コンピューターから抹消したというような理由をつけてなかなか出しません。そうなると借りた本人が、振り込み票や領収書などの弁済を証明する過去の資料を、そろえられるかどうかが重要です。
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無理のない返済計画 |
任意整理で合意した返済計画が無理のないもので、途中で再び返済が滞って、業者とトラブルが発生することがないように、収入と生活実態とのバランスのとれた、余裕のある計画をたてるようにしなければなりません。相談する弁護士には借り入れ額と返済の状況および生活の実態について、つつみ隠さずすべてを話して、弁済計画をたててもらうことが必要になってくるわけです。
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どのくらい資金があれば任意整理に応じてもらえるか |
弁護士が介入する前に計算した借り入れ額の合計と、用意できる金額に大きな差があって、これでは弁済できないとあきらめる人もいます。しかし、利息制限法で再計算すれば、債務額は2分の1になる場合もあるのです。そして、一括で支払うといえば、業者はさらに減額に応じる場合もあります。業者にしてみれば、長期にわたって利息のつかない形で、保証もなく弁済を受けるよりは、一気に解決したほうが税法上も償却できるメリットもあると考える場合もあるからです。
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