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総 論
 
1 倒産とは


 商工業者が失敗して、経営不能になること。
 「倒産」という語は、法律用語ではなく世俗的用語です。
 従って、一般的には、商工業者が経営破綻に陥り、かつ破産手続などの法的手続がとられない場合に、「○○株式会社は、
 事実上倒産した」というように用いられます。

 

2 倒産処理の種類


(1)倒産処理の概観

倒産統計円グラフ

倒産総数    19071件中
 
任意整理      15204件
 破産          2990件
 民事再生        550件(4月から9ヶ月間)
 和議            45件(3月から3ヶ月間)
 会社更生         24件
 会社整理          3件

なお、裁判所時報2000年裁判所新受件数によると、
破産・・・145,859 民事再生・・・662件 和議・・・42件 会社更生・・・25件となっています。

(2)清算型手続
 債務者の総財産関係を全面的に清算し、従来の取引活動にも結着をつけて、終極的に債権者に共同公平な満足をはかるものです。清算型手続としては、破産と特別清算があります。

(3)再建型手続
 債務者の財産関係を全面的に清算することなく、その取引財産関係を整理して、その事業または企業の維持再建をはかるものです。再建型手続としては、会社更生、再生、強制和議、会社整理があります。なお、自然人の再建型手続として平成13年4月1日より個人債務者再生手続を定めた改正民事再生法が施行されています。

(4)私的整理
 私的整理とは、裁判上の諸手続によらず、債務者と債権者との話し合いに基づく合意により、その債権債務関係を処理することをいいます。私的整理は、法的整理のように厳格な手続によらずに、関係人の合意に基づき、その対象に応じて柔軟・簡略・短時日に財産関係の処理を期待することができます。
 したがって、費用も低くすみ、その結果、効率の配当を予定できるという利点がありますが、その反面、手続が法定されず、裁判所等の公の関与もないため、種々の不正が行なわれやすく、またその成立に債権者全員の同意を要し、反対債権者を拘束する手段がないことが大きな弱点となります。
 なお、法的手続の一種である再生手続については、民事再生法で簡易再生や同意再生を認めることによって、私的整理手続上の弱点を補う制度が盛り込まれています。

 

3 破産の隣接諸制度

(1)特別清算

 株式会社の清算の遂行に著しい支障をきたすような事情があるか、若しくは債務超過の疑いがあるとき、裁判所の命令によって開始させる清算手続。株式会社についてのみ認められる法定清算の一種。既に清算手続に入っている株式会社のみが対象となります。特別清算人は裁判所によって任命されるのではなく、従来の清算人がそのまま就任します。
 一般の債権者は、手続に参加することを要求され、平等に配当を受けます。このため個別執行が禁止されるのみではなく、商法第433条、第384条により担保権の実行による競売手続きも中止できます。
 債権者に対する弁済は、清算人が作成した協定案を債権者集会において可決することによりなされることになります。

(2)会社更生
 会社更生法により株式会社の事業の維持更生をはかることを目的とする裁判上の手続。企業の解体、清算による社会的損失を防止するための制度。株式会社のみが対象となります。
 開始原因は
 @事業の継続に著しい支障をきたすことなく弁済期にある債務を弁済できないとき
 A破産原因たる事実の生じるおそれのあるとき

 となっており、比較的穏やかに認められます。
 会社更生開始決定があれば、会社財産の管理処分権限は更生管財人に移転し、かつ管財人には事業の経営権も与えられます。
 一般債権者は、手続に参加することを強制され、会社からの任意弁済、債権者による個別執行は許されなくなります。担保権利者も手続に加入されることを強制されます。
 配当は、管財人が作成した更生計画について、関係人集会で可否を問い(または裁判所が認可を与え)、それに基づいて行なわれます。
 経営権がすべて管財人に移転し、かつ手続が慎重であるため、再建までに時間を要するという欠点があります。

(3)再生
 民事再生法(平成12年4月1日施行)に定められる破産予防のための手続。債務者の事業または経済生活の再生・再建を目的とするため、債務者は、開始決定後も原則として、財産の管理処分権を失いません。対象は自然人及び全ての法人であり、破綻前に申立てることが可能で、管轄・移送・保全処分が広く認められます。
 決議の可決要件も、和議の場合の要件(債権額の4分の3)から緩和され、債権額の2分の1となっているほか、簡易な営業譲渡・担保権消滅・増減資などの制度が認められ、迅速に処理できます。また、簡易・同意再生手続も用意されています。
 再生計画が認可されれば、一定の要件のもとで、債権者に執行力が付与され、計画による弁済を不履行した場合の手続取消の簡易化、履行確保に優れています。

(4)強制和議
 破産手続において配当に代え、破産者の提供する和議条件を破産債権者の法定多数で可決し、裁判所が認可することによって破産手続を終了させる制度。

(5)会社整理
 株式会社が支払
不能又は債務超過に陥るおそれがあるか又は陥っている疑いがあるときに、その整理更生を目的として裁判所の監督の下において行なわれる手続。破産を予防して会社立て直しを図る制度ですが、債権者に対する強制力がないため、実効性に乏しく、実際には会社更生法に基づく会社手続が取られることが多く、今後は民事再生手続による場合が更に増加するものと考えます。

(6)特定調停
 支払不能に陥るおそれのある債務者等が負っている金銭債務について利害関係の調整を裁判所の民事調停手続で行なうこととして当該債務者等の経済的再生を図るための民事調停法の特例手続です。

 

 


<会社再建法>
1.特別清算手続
2.総論
3.破産手続
4.倒産手続比較表
5.個人再生手続比較表
6.申立に必要な添付書類 
7.給与所得者再生手続の流れ
8.小規模個人再生手続の流れ
9.大阪地方裁判所第6民事部「破産手続情報サービス」





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